世界人口の増加抑制のために有効だと思う、ささやかなこと。
○子孫を残す意思のない人に、子孫を残す意思のある人と同様の敬意を持つこと。
○子孫を残せない人に、子孫を残した人と同様の敬意を持つこと。
○自殺した人に、生き延びようとする人と同様の敬意を持つこと。
○同性愛者(そのうち精子提供や卵子提供による子孫を求めていない人)に異性愛者と同様の敬意を持つこと。
これだけなら、今の自分にも誰にでもすぐにできることだと思う。
何か大変なことをするわけではなく、ただそういう意識を持つというだけだから。これだけでは何も変わらないように見えるかもしれない。でも、大勢の人の意識のありようは、社会全体の風潮を決定づける。そして大勢の人の行動は、社会全体の風潮に左右される。その結果、大勢の行動が変われば、最終的に世界のありようは変わる。だから意識を変えるというのは、何かしらの変革を起こす上で最も大きな火種となるはずだ。
日本で近年、自殺者が多い事が大きな社会問題になっている。また、結婚せず子供も望まない人が増えている。一方で、子供が欲しいのに恵まれないという人もいる。そしてここ最近、性的マイノリティーへの社会の関心が高まるなかで、同性愛者への偏見を持つ人が少なくなってきている。
それらは全て、必然があってそうなっているのだろう。人口が増え過ぎているから。これらは全て、人口の減少に関係することだ。
ある環境のなかで、さまざまな生物のうちのある種族だけが、環境を維持できないほどに増えた場合、それ以上は増えないように自然の側が調整し、バランスを取るのだろう。いま人類は増え過ぎているから、自然の摂理が働いて、人口増加を抑制することに貢献するような現象を導いているのだと思う。
だから、その現象を否定したり、その現象に抵抗しようとするのは、今の時代には相応しくないだろう。
自殺を悲しく思うのは生物として当然のことだと思うので、自殺者の増加については別としても、子供を望まない人やそれ以前に結婚も望まない人に否定的な考えを持っている人は、これだけ人類という種族が増え過ぎて地球全体の営みが人類のせいで狂っているという状況のなかでは、時代遅れも甚だしいとしか言いようがない。
同性愛者で自分の遺伝子を受け継ぐ子孫を望まない人に対して否定的な人も同様。同性愛者の存在を否定する人は、なぜそういう人が増えているのか、また、なぜ今そういう人たちに注目が集まっているのかということを考えていない。そういう状況が生まれるのは、人が増え過ぎているのなら当然のこと。それなのに、そういう理由があることを考えずに、人が増えても問題なかった時代の過去の価値観を基準にして、これまでの考えに固執し他人にもそれを押し付けるのであれば、それは今の地球には相応しくない人ということ。
人口の増加が問題にならず、むしろそれが歓迎されていた遠い過去の考えでは、今の地球には適応できない。これからもまだ地球にいるのであれば、それを一刻も早く自覚した方が良いと私は思う。
そういう人は自分たちが人類であるという意識、つまり地球という大きな環境のなかで、たくさんの生物たちが地球全体の営みに貢献している中の「人類という一つの種族」であるという意識がないのだと思う。自分の存在を、「地球全体のなかでの自分」ではなく「自分たち人類のなかだけの自分」と捉えているのだろう。人類のなかだけのことしか考えていないということ。人類という枠組みのなかでしか通用しない価値観に従っていて、人類の外側の視点からは考えていないということ。
人口が減っていくことで世の中にさまざまな問題が生じるとしても、それは人口を増やすことで解決させるのではなく、もうこれからは「人口を減らさなければならない」ということを前提に考えなくてはならない。もう、これまで築いてきた社会と同じ社会を維持することはできないのだから。これからは、今まで築いてきた社会の仕組みや今まで当然とされてきた価値観にしがみ付くのではなく、まったく新しい価値観のもと、まったく違った仕組みを作るのだという意識で社会を作らなければならないだろう。
日本のように人口が減って少子高齢化の著しい国は世界でも日本だけなのだから、これから世界人口を減らさないと地球全体が維持できなくなる状況を迎えている今、日本は人口が減った際に直面する問題にいち早く向き合っている。ということは、これから日本が人口の減少という課題を乗り越えることで、世界全体にも人口を減らすための手本を指し示すことができるのではないか。そう簡単に乗り越えられる問題ではないが、少なくとも人口を増やそうとすることで解決させるのではなく、減った場合にどのような問題が生じ、それを克服するにはどのような方法があるかということを示すことで、世界人口を減らすためのヒントを提供することはできるのではないか。
2018年9月 間アイ
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