食物連鎖の頂点に立つリスク

アノマロカリスにしても恐竜にしても、絶滅した。その当時、食物連鎖の頂点に君臨していたとされる生物。恐竜の場合は隕石が落ちたからというのもあるけれど、そうでなくとも食物連鎖の頂点にいる生物というのは、いつの時代も他の生物より絶滅の危険性を抱えているのではないか。だから他の生物以上に気をつけないといけないように思う。

なぜなら自分たちを食べる生物がいないのならば、自分たち自身で自分たちの数や自分たちに必要な食料を管理しなくてはならないのだから。その管理に失敗すると自分たちの種が増えすぎたり、必要な食料が保てなくなったりする。例えば恐竜は身体が巨大化しすぎて自分たちの生命を維持するために膨大な食料が必要となってしまった。それでは長くは続かないだろう。

ふつうに考えて、食物連鎖の頂点にいて誰からも食べられる危険性のない生物が、他の動植物を食べ尽くしたり、自分たちが生きるのに必要な分の食料も足りなくなるほど増えたりしたら、それはもう存続できなくなるに決まっているよね。人類は今、その状態に近いね。他の生物を食べるどころか他の様々な種の生物たちが絶滅する状況を作っている。自分たちも増えすぎて、もう自分たちが全員生き延びるに必要なだけの植物や動物も足りなくなる。その他、生活に必要な資源や生活するに相応しい居住地も足りなくなる。自分たちで汚染しているので自分たち自身で自分たちの住める環境を減らしている状態だしね。

どうしたらいいのだろうね。こんなこと、何十年も前から同じことが言われ続けているのだよね。でももう、本当にそれがかなり深刻な状況になってきているね。このままだと、もう数百年も経たないうちに、人類という種族はかつての恐竜などと同じように、生態系から外されるのかもね。というか数百年とまでいかなくとも、もっと早い段階でそれに近い状態になるのかもしれないしね。

人によっては、「そしたら地球以外の天体に移住すればいいさ!」と思っているかもしれないけれど、移住できる状態に環境を整えるには時間がかかるから、それまで地球上で人類が持つかどうか分からないし、移住したとしても、あるいは宇宙ステーションの中の空間で生きたとしても、どちらにしても我々の身体はもともと地球で誕生し、地球の環境に適応するようにできているのだから、他に行ったらそう長くは続かないのではないかね。ある程度の時間が経てば適応できるなんてことあるかなあ。地球のなかでさえ、代々、極寒の地で生まれ育った民族の人が常夏の島で暮らすなんてことになったら大変なのに、他の星に行ってちゃんと適応してその後、何世代も無事に続くなんて都合良く行くかなあ。そんなこと、普通に考えたらかなり無理があるんじゃないかと思うのだけど。それから無重力の空間だと人間が健康でいられる時間はかなり限られるから、宇宙ステーションを巨大にして重力が働く状態にしたとしても、そしてそれがある種の人工的な惑星のようになったとしても、それでも地球とはかなり環境が違うのだからどれだけ耐えられるのか分からないよね。

だとしたら、このままだと人類は、自分たちに必要な以上食べたり、必要な分を賄えなくなるくらい自分たちが増え続けたりしたら、もう完全に地球全体の営みから排斥されるよね。だって、食物連鎖の頂点に立っているということは「誰も食べてくれる生物がいない」ということだから、自分たちで自分たちの管理をすると同時に、自分たちのせいで生態系全体のバランスが崩れないように気を張っていないといけないということだもの。誰も上から抑制する生物がいないから、自分たちで自分たちの数と自分たちに適切な食料の量を把握し、常に管理していなければならないのだもの。そうしなかったら、絶対にいつかバランスを崩して生態系から外されるよね。生態ピラミッドの一番上にいて誰からも食べられないというのは、それだけのリスクと責任を負っているということだよね。


2017年12月 間アイ



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