いつか、遺伝子工学など「生命」を操作する技術と、人工知能やロボットなど「コンピュータ」に纏わる技術と、「地球外生命体」の探査が、すべて結束する日が来ると私は思っている。それらは決してバラバラに進歩するものではなく、何か同じ地点に向かっているのだろう。それらが交わる日が来たとき、文明は次の段階に進むのではないか。
地球外生命体の発見と接触に、最先端の生命科学とコンピュータの技術が貢献するのだろう。接触までは行けなくとも、この分だと私は数十年後までには、地球外生命体の存在は何かしらの方法で確認できるのではないかと思う。交信はできなくとも、「そこに知的生命体が存在しているはずだ」という何かしらの確証を得ることくらいはできる可能性が十分にあるのではないか。今は、生命体がいる可能性のある環境が整った天体を発見するに留まっているけれど、この分だといずれ、生命体がいることが確実である天体、その中でも知的生命体がいることがほぼ間違いないと思われる天体を見つける日は、そう遠くない内に来るのではないかと思う。
生命科学とコンピュータの技術によって地球上で人類の次の新しい存在が作られ、そしてその生物もしくはロボットもしくは生物とロボットの間のような存在が、地球以外の天体に住む他の生命体もしくはロボットとの接触を果たす、または接触までは行かなくとも互いの存在を認識する、というのが未来に起きるべき出来事だと私は思っている。
だから、それを未来の地球が成し遂げるために今の人類はどういう選択をするべきなのか、という観点で今の我々の行動やルールを決めなくてはならないと思う。
生命科学とコンピュータに関する分野と宇宙科学は一見まったく異なる分野のように見えるけれど、それらは別々に独立した発展を遂げるのではなくて、重なる領域を持っているだろう。そしてその重なる領域がどんどん広がり、未来に向けてそれらが集結していく面があるのではないか。
今はこの話は完全に荒唐無稽な戯言のように見えるかもしれないが、この問題は20年後にはかなり現実味を帯び、そして30年後には完全に現実問題となるのではないかと私は思っている。
そして、その時に初めて気づいたのでは遅いのだ。その時に向けて、今の人類が準備しておかなくてはならない。少なくともその時まで人類は、今までの生命体が積み上げてきた歴史を全て崩壊させてしまうことのないよう、「未来への道を鎖さない」という意識を持っておく必要があるのだ。
2018年4月 間アイ
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