いつか、科学が終わった後に

夜の地球を遠くから見たときの、街のあるところが無数に光っている衛星写真と、脳の神経細胞の活発に働いているところを光らせた画像が、どことなく似ているような気がした。

いずれ地球全体が一つの脳のような状態となり、最終的に宇宙全体が一つの脳となるのが、この宇宙の行く末なのだろうか。

あと何百年後か分からないけれど、科学で解明できることが解明され尽くし、科学技術がもうこれ以上発展できない究極の地点まで発展し、科学だけでは通用しなくなった後、宇宙のロボットたちがある種の精神のようなものを作るのではないか。

それは私たち生物がそれぞれの天体の内部で築いてきたものとは全く違う、何か別のステージの精神だろう。それは宇宙の構造が全て見えたときに辿り着く、宇宙の全てを見通せるような精神。それはある種の神様のようなものかもしれない。でも今の私たちが知っているような神様とは全然違うようなもの。

そこに至っては、地球で最初に文明が築かれたときと同じように、宇宙に新たな文明の地平が切り開かれるのだろう。生命体が長く存在した個々の天体で営まれたような文明の歴史が、もう一つ大きな規模で、宇宙全体の規模で始まるということ。

地球の場合は、最初に人間が神様を作り、それを信じ、それに祈り、それを生きていくうえでのあらゆる営みの基盤としたように、それと同じく何かそこから新しく始まるものに必要な最初の基盤が、宇宙規模で作られるのではないか。

小さな天体が集まって大きな銀河を形成するように、細胞一つ一つが集まって私たちの身体が作られるように、個々の文明がいずれは、より大きなレベルでの宇宙文明のようなものへと繋がっていくのではないか。

きっと個々の天体での営みは全て、そこへ向かっているのだと私は思っている。

だから私は地球にいる一つの生命体として、地球の未来もそこへ繋がってほしいと思うのである。地球の未来も、宇宙全体の脳を形成する、一つの神経細胞となってほしいのである。


2018年2月 間アイ



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