じさつする かがくしゃ  —後編—

あいだ あい

さいごに つくられた クローンかがくしゃは、そうなることを わかっていました。

だから、じゆうに いでんしを つくる ほうほうが わかっても それを だれにも おしえませんでした。にんげんが それを しったら、みんなが じゆうに すきな いでんしの にんげんを つくり、バランスが とれなくなって、ぜつめつすることに なるからです。

だけれど、そのかがくしゃは、そのかわりに ちいさなロボットを つくっていました。

だれにも しられないように ロボットを つくり、うみの そこの ふかいところに うめました。

そして 100ねんごに うごきはじめるよう、セットしました。

100ねんご、そのほしの にんげんが だれもいなくなって なんじゅうねんか すぎたころに、ロボットは うごきはじめました。

うみのそこから もこもこと おきあがると、ロボットは あたらしい せいめいたいを つくりはじめました。

さかな、とり、ひつじ、そして、にんげんも つくりました。

ロボットは、つぎつぎと バランスよく さまざまな せいぶつを つくりました。

じさつする にんげんも、しない にんげんも、さまざまな にんげんを つくりました。

ロボットは かがくしゃが しぬまえに つくった、いでんしせっけいロボットでした。すべての せいめいが、ふえすぎたり へりすぎたり しないよう、ちょうどよい バランスをとることのできるように つくられた ロボットです。

ロボットは あるせいぶつだけが ふえると、そのせいぶつを つくらないように セットされていました。にんげんも、おなじような しゅるいの にんげんが ふえすぎないように セットされていました。

それから また へいわな せかいが つづきました。

それぞれの せいぶつは、ロボットに つくられたあと、それぞれに また あたらしい いのちを うみだしました。そして、いちぶの せいぶつだけが ふえると、ロボットが また うごきだし、ふえた せいぶつを たべる せいぶつを ふやしました。にんげんが ふえそうな ときは、じさつする にんげんを ふやしました。

あるとき、また にんげんに ゆうしゅうな かがくしゃが あらわれました。

ロボットを つくった ゆうしゅうな クローンかがくしゃは、おなじように ゆうしゅうな かがくしゃも たんじょうするように セットしていたのです。

すると、そのかがくしゃは、また いでんしを じゆうに きめる ほうほうを かんがえだしました。そして、じさつしないひとの いでんしを せっけいする ほうほうを おもいつきました。

そして ロボットからではなく、じぶんの じっけんしつで、じさつしない ひとびとを たくさん たんじょうさせました。

すると、また そのほしの じんこうが ふえていきました。 このままでは まずいと かがくしゃは おもいました。

そして、いでんしの バランスをとるロボットを つくり、まえの かがくしゃと おなじように うみのそこに うめました。 かがくしゃは、にんげんが うまれれば、かならず おなじことになるとおもい、もう にんげんが うまれないように、セットしました。

それから しばらくして、また じんこうが ふえすぎて、にんげんは ぜつめつしました。

そして、ずっとたってから、また ロボットが うごきはじめました。

すると、また バランスよく さまざまな せいぶつが つくられました。

しかし、しばらくすると にんげんではない せいぶつが はったつしました。それは、かがくしゃが よそうしていない ことでした。そのせいぶつは、にんげんと おなじように、だれにも たべられることのない せいぶつで、そのほしの せいぶつの しはいしゃと なりました。

しばらくして、そのせいぶつは、じさつするようになりました。すると、そのせいぶつのなかから、また じさつしないように いでんしを かえようとするものが あらわれました。

そして また、じさつしない いでんしを つくる ほうほうが みつかりました。

すると、また そのせいぶつの じんこうが ふえ、そのせいぶつは ぜつめつしました。

しかし、じさつしないように いでんしを かえる ほうほうを かんがえだしたものは、いつか そうなることを わかっていました。

そして、そうならないように、いでんしの バランスをとる ロボットを こっそり つくっていました。そして そのせいぶつは、じぶんたちと おなじ しゅるいの せいぶつが うまれると、また かならず おなじことに なるとおもい、じぶんたちと おなじ しゅるいの せいぶつは うまれないように セットしました。

そして、またしばらくして、ロボットが うごきだしました。

すると こんどは、また べつな せいぶつが しんかして、じぶんたちの いでんしを じゆうに かえる ほうほうを おもいつきました。

すると また バランスが とれなくなって、そのせいぶつは ぜつめつしました。

でも そのせいぶつのなかの ひとりが、それを わかっていて、いでんしの バランスをとる ロボットを つくっていました。そして、じぶんたちと おなじ しゅるいの せいぶつは うまれないように セットしていました。

でも また そのあと たんじょうした せいぶつのなかから、いでんしを かえるものが あらわれました。

そして、そのほしは そのあと、なんぜんねん、なんまんねん、なんおくねんも、いろいろな せいぶつに こうたいしながら、ずっと おなじ いとなみを つづけました。


 おしまい


2015ねん8がつ あいだあい



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