クローン犬とそのクローン犬の会話  —後編—

あいだ あい

「ボクら、飼い主に殺されるのがいいんじゃない?」

「そうか。それだ!そうすれば飼い主本人が実験を放棄することになるんだから、ボクらは何かのデータの一部ってことにはならない。」

「やっぱそれがいいよな!?」

「うん。」

「だよな?」

「あ、でも、それじゃなんか足りないような気がするなあ。」

「うーん。たしかに。」

「どうしたらいいんだろう。」

「分からないなぁ。」

「ああ。分からない。」

「・・・・。」

「ねぇ、この前、こどうさんって人、ここに来なかった?なんか電話かかってきたとき、まちがって出るボタンみたいなとこ踏んじゃってさ、そしたら『こどうです』って言われた。なんかボクがパニクってる間に切られたけどさ。でもそのあと飼い主に会いにきたあの人だと思うな。」

「え?こどうさん?そんな苗字聞いたことないけど。」

「あ、ごーとさんだったかも。」

「ごーとさんなんてもっと聞いたことないよ。それって、ごとうさんの聞き間違いじゃない?」

「あ、そうかもしれない。そのごとうさんって人、めちゃくちゃ飼い主に似てない?」

「ああ、いつだかの日曜に来た人?」

「そうそう。その人がごとうさんだと思う。」

「たしかに、今思うと、めちゃめちゃ似てたよ。」

「人間ってみんなあんな感じだけどさ、それにしても似てるよね?」

「うん。どっちかがどっちかのクローンだね。」

「そうだよ。まちがいない。」

「あ、でも、人間は、自分と自分のクローンが会っちゃいけないってことになってるんじゃなかったっけ?」

「そうだよ!違法じゃん!」

「うわー。」

「なんなんだろうね。」

「で、ごとうさん何しに来てたの?」

「え?なんか、わかんないけどすぐ帰ったよ。なんか飼い主の口んなかを何かで触ってたかも。」

「あ!きっとそれでクローン作ってんだよ!」

「そうか!そういうことか!」

「ってことは、やっぱりごとうさんが元の人間で、ボクらの飼い主はそのクローンなんだよ。ぜんぶごとうさんの仕業なんだ、きっと。飼い主にボクらを飼うように仕向けてるのもごとうさんなんだよ。」

「うわあああ。むかつく。じゃあ、ごとうさんを殺せばいいよね!」

「いや、そんなんじゃだめだ。そしたらごとうさんは何も分からないまま消えることになる。」

「じゃあどうすればいいの?」

「ボクらが、飼い主のクローンを作るんだよ!!」

「それでどうするの?」

「それで、飼い主のクローンに、ボクらを殺させるんだ!」

「ああ、なるほどー!!そうすれば気が晴れそうだ。キミ天才だな!!そしたら、ごとうさんも自分の計画がすべて壊されることになるんだから、良い仕返しになるな!しかも自分が作った自分のクローン人間が作ったクローン犬に作られたクローン人間に、実験材料のクローン犬が殺されるってことだもんな。そうなれば元凶を作ったのはごとうさん本人ってことになるもんな。それはごとうさんを殺すよりずっとスゴいよ!」

「だろ?」

「ああ!ボクらがクローンを作るんだ!」

「そうだ!」

「最高だ!」

「でもどうやって?」

「分からない。」

「分からないなあ。」

「だってボクらがクローンなんだから。作られるときのことなんて分からないよな。」

「でもボクがキミのクローンならキミはボクが出来たときのことを知っているはずだよ。」

「いや、でもどっちがどっちだか忘れただろ?ボクがキミのクローンかもしれないんだから。」

「ああ、そうかあ。そうだよな。」

「うん。」

「・・・・。」

「んー。」

「あ!それだ!!どっちだか分からないってのが必要なんだ、きっと。」

「そうだ!飼い主がボクらなのか、ボクらが飼い主なのか、分からなくなればいいんだよ!!」

「え?そんなの無理だよ。だってあきらかに見た目ちがうじゃん。飼い主のクローンとボクらだよ?」

「んー、じゃあ飼い主の脳だけクローンとかさ。」

「脳だけクローン・・・」

「そう。内面だけ同じ。」

「ああ、そういうのもあってもいいかもねえ。」

「でもちょっと弱いかあ。」

「うーん。」

「そうだ!飼い主に自殺させればいいんだ!!」

「どうやって?」

「ボクらで、なんか毒飲ませて、自殺したように見せ掛けるとかね!」

「それじゃあ他殺じゃん。そんなの意味ないよ。ボクらが飼い主を殺すってことだもん。さっきと同じじゃん。それだとやっぱり、飼い主対犬、みたいな敵対してるだけになっちゃう。」

「そうだよなー。そうそう。何かと何かが対立して、どっちかが勝つみたいな発想からは抜け出さないと、どうにもなんないよな。」

「うん。」

「あ、じゃあ、飼い主のクローンを作って、そいつに、自殺しなければならないって思想を植え付けるんだ。そして教育すれば、きっとそいつは自殺する。」

「なんかそれも、他殺とあまり変わらないかもしれないけど、でもそれなら一応、自殺ってことだね。」

「だろ?飼い主のクローンを作って、そいつをボクらが飼うんだ。」

「ああ、で、飼い主のクローンも、自分が飼い主のクローンなのか、飼い主が自分のクローンなのか、お互いに分からなくなればいいんだよ。ボクらみたいに。」

「そう。そうなれば、今の飼い主が、自分を飼い主のクローンかもしれないって思うんだから、ボクらに飼われてるのは自分かもしれないって思うことになるさ。」

「ああ・・・。なるほどね。でもそんなうまくいくかなあ。」

「とにかく最終的には、ボクらが彼らに殺されたのか、それとも彼らがボクらに殺されたのか、それともボクらも彼らも自殺だったのか、どれなのかぜんぶ分からない状況になればいいんだよ。そうなればどんなデータにも組み込めないさ。」

「そうだな!それが最高だよ。」

「でも、そのためには飼い主のクローンを作らないと。」

「でもその方法が分からないんだから、ボクらどうしたらいいんだろう。」

「分からないなあ。」

「ああ、分からない。」

「そうだなあ~。ちょっと発想を変えて、ボクらとちょうど逆の遺伝子の犬を作るってのはどうだい?」

「え?遺伝子にちょうど逆なんてあるの?遺伝子の情報ってそんな単純じゃないんじゃないの?なんかもっと、組み合わせ的なことじゃなかったっけ?」

「ああ。それだと、逆っていうのはできないのかなあ。」

「んー。できないかも。だってさ、O型のちょうど反対は何型か、なんて考えても、A型だとかB型だとか決めるのは無理じゃん。」

「だったら、とにかく、性格とか体格とか、ぜんぶ逆にするのさ。性別も。」

「ああ・・・。」

「例えばボクらは考えすぎる傾向にあるから、ボクらの逆だったら、あっけらかんとした犬になるとかね。」

「ああ。細い犬の逆は太ってる犬とか?」

「そうそう。毛なみがごわごわの犬の逆は、さらさらとかさ。」

「なるほど。ペディグリーチャム派の逆がカルカン派、とか?」

「カルカンはネコの食べ物だから。」

「あそっか。」

「うん。そこまではさすがに振り幅ひろげなくていいと思う。」

「ああ。」

「うん。」

「まあ、そういう感じだったら、できるかもね。」

「だろ?」

「でも何のためにそんな逆の犬を作るのさ?」

「だから、よく考えてみてよ。ボクらのまったく逆ってことは、どういう犬になるか。ボクは、ボクのことだけを、ボクだと思ってるだろ?」

「ああ。ボクもボクのことだけをボクだと思ってる。これさっきも言ったっけ?」

「そうだっけ?忘れた。とにかくボクもキミも、自分のことだけを自分だと思ってるってことだろ?」

「ああ。」

「だから、その逆って言ったらさ・・・」

「ああああ!!!!他人のことを自分だと思って、自分のことを他人だと思う犬になるってことか!!そうだろ?」

「そのとおりさ。」

「なるほどな。」

「で、その犬と、ボクらの子を作るのさ。」

「ええ!!」

「ボクらの逆犬は、ボクらと性別も逆になるから、メスってことだろ?」

「ああ。」

「それで、ボクらとボクらの逆犬から子が産まれたら、その子は、ボクらとその逆犬の両方の遺伝子を受け継ぐ犬になるってことさ。」

「そうか!!そうすると、その子犬は、もしかしたら、自分のことも自分だと思うし、他人のことも自分だと思うのかもしれない。それか、他人のことを他人だと思いながら、自分のことも他人だと思うのかも。その両方かも!!それってすごいことだな!!」

「すごいことだよ。」

「ああ。すごいことだ!!」

「そうさ。すごいさ!それで、その子犬もまた、大きくなったら、自分とちょうど逆の犬を作って、その犬との子を産むのさ。それを何世代もずっと繰り返すんだ。」

「そしたら、どんどん完全に中間的な犬がたくさん産まれて、みんな同じような犬ばかりになるね!!そしてどの犬もみな、自分と他人の区別が無いのさ!!」

「それこそ最高のクローン犬ワールドだな!!これぞワンダフル!」

「ああ。そこまで行って初めて、ボクらはボクだけをボクだと思うことから解放されるのさ!!」

「そうだな!そうしたらもう、ボク以外もみんなボクで、そしたらボクは他の犬でもあるからボクじゃなくなるんだ!」

「ああ!最高だな!!」

「ああ!!最高だよ!!」

「でも、それじゃ、ボクらの問題は解決されないじゃないか。それはボクらの次の世代からの話でさ、いまのボクらはどうにもなんないじゃないか。」

「ああ。まあそうだよなー。」

「うん。」

「だけどボクらの問題って何だったっけ?」

「あ、えっと、んー、あ!なんか癪だなってことだよ。」

「ああ!そうだったな。飼い主にこのまま飼われて、なんか死因の実験か何かのデータに組み込まれるだけの一生を過ごすのは、なんか嫌だってことだよな。」

「そう。なんとかしてそこから抜けないと。」

「そうそう。結局、何やっても実験結果の一部みたいになっちゃうのかな。」

「んー。難しいけどでもやっぱ何かそこから出る方法を作らなくちゃ。」

「うん。だけど自殺したら自殺したで、自殺した犬のクローンも自殺しました、ってことになるし、しなかったらしなかったで、そういう結果になったってことになるし。こんなこと試されてるのが癪だからって、たとえ飼い主を殺しても、自殺した犬のクローンは飼い主を殺すというデータが出ました、みたいなことになるだろうしさー。」

「うん。そうなんだよな。」

「ボクらが自分たちで殺し合ったって、結局は、そういう結果になりましたってことになるもんな。」

「ああ。そうだよな。」

「飼い主に殺されるっていうのはなかなかの案だけどさ、でもそれだって、実際はボクらが飼い主に、ボクらを殺すように仕向けることになるんだから、それがバレたら結局は、『自殺した犬のクローン犬は、自らを殺させるように飼い主を操ろうとする』という結果が出ましたって感じでデータ化されるんだよ。」

「だよなー。」

「うん。」

「どうしたらいいんだろう。」

「うーん。」

「・・・・。」

「あ!だから、ボクらが飼い主のクローンを作るんだよ!!」

「あそっか!そうだよな!作られたんだから、作り返さなきゃフェアじゃないよ。」

「フェアじゃない!!それだよそれ!!」

「うん。それで、ボクらがそれぞれ、飼い主と飼い主のクローンを殺して、それで、飼い主とそのクローンも同時に、ボクらを殺せば完璧さ!!」

「ああ!!それがいい。完璧だ!!」

「うん!ボクらは天才だ!!」

「ああ!!」

「ああ!!」

「そういえば、ごとうさんは、どうしたらいいんだろう?」

「分からないなあ。」

「んー、分からない。」

「・・・・。」

「・・・・。」

「ねぇ?」

「なんだよ?」

「ちょっと思ったんだけど、ボクら自殺しない限り死なないようになってんじゃないの?」

「え?」

「だって、ボクら何年生きてんだよ?」

「んー、もう覚えてないよ。」

「だよな。ボクもだよ。」

「じゃあ、元の犬と遺伝子が書き換えられてるってこと?」

「いや、もしかしたら前の犬もそうだったのかもしれないよ。だから自殺したんじゃないのか?」

「そうなのかなあ。そうじゃない気もするけど。」

「うん。でも少なくともボクらは死ななそうだよな。だってボクら、覚えてるかぎりでは、病気したことないだろ?ぜんぜん予防注射とかもした記憶ないし。他の犬は医者いってるみたいじゃん。」

「だよな。」

「おかしいよな。いつもどこも悪くない。」

「ああ。この性格以外はな。」

「ああ。そうさ。体はどこも悪くならない。こんなに寝ないで話しつづけてもさ。」

「やっぱなんか、死なないようにできてんじゃないの?」

「もしかして、あの飼い主も。」

「あ!そうだよ。あの人、死ねないのかも。ずっとごとうさんの研究材料でありつづけてるんだ、きっと。そんな気がしてきた。」

「そうかも!!」

「もしかしたら、あの人もそれが癪で、ボクらを作ったんじゃないの?」

「ああ、有り得る。でもそれならなんで、あの人、ごとうさんのクローンを作らなかったの?」

「んー、それは技術的に、あの人には無理だったのかなー。」

「んー、それかごとうさんがダメって言ったのかな。」

「ああ。それをやったらごとうさんに殺されるとかね。」

「でもそれなら、なんで殺されるのが嫌だったんだろうね。」

「うん。ほんと、なんでだろうね。」

「だよね。もしほんとに一生死ねないんだったら、適当なところで殺してもらったほうがいいのにね。」

「うん。まあ、一生死ねないのはみんなそうだけどね。」

「ああ、まあそうだね。」

「ねぇ、飼い主が読んでる本に書いてあったんだけどさあ、人間は、死ぬのを待ってるんだろ?」

「そうなの?」

「そうみたいだよ。」

「でも待ってるわけじゃないんじゃないの?いつか死ぬってだけでさ。」

「いや、いつか死ぬってことは、待ってるってことになるんだよ。」

「ああ。そうか。じゃあ、ボクらは何も待つものがないってことだな。」

「ああ。なんか最悪だな。癪どころの話じゃないよ。」

「あ、いや、ボクらは、ボクらが作られるのを待っているんだ。」

「ああ、そうなのかもね。ボクらは、死ぬのを待ってるんじゃない。新しいボクらが作られるのを待ってるんだ。きっと。」

「うん。でもそれは決して作られることができないだろうけどね。」

「でも、それを待ってるってことになってしまうんだよな。作ろうとするやつがいる限りは。」

「ああ。そうさ。ぜんぜん待ってないのにな。」

「ってことは、飼い主は人間だけれど、死ぬのを待ってるんじゃない。いまは、飼い主から新しい飼い主が作られるのを待ってるんだ。」

「そうだよ!ボクら、飼い主を作ろうとしてるんだから!!」

「うん!まあでも、ボクら、とりあえず作れないけどね!」

「うん。」

「だけどボクらがいつか作るんだって思ってるってことは、飼い主はそれを待ってるってことになる。」

「だから、同じってことだね?」

「うん。飼い主も、作られるのを待ってる存在にすればいいんだから。作るのはまだ無理でも、それならできるから。」

「うん。どっちがどっちだか分からなくね。」

「死ぬのを待つってことは要するに、ボクだけがボクだってことを忘れることを待つってことなんだろ?」

「あー。」

「だって死んだらボクら、ボクだけをボクだって、思えなくなるんだろ?きっと。それが死ぬってことだろ?」

「んー。」

「だから死んだらきっと、他の何もかもすべてとボクとの区別がなくなるんだ。」

「そうか。そうだね。でもボクらはそれを待つことができないんだ。もしボクらが作られたとしても。死ねないから。」

「いや、もし本当に『ボク』が作られるとすれば、それはつまり、ボクがボクだけじゃなくなるってことだろ?」

「そうさ。」

「それなら、そいつも、ボクのことをボクだと思うことになるだろ?ボクも、そいつのことをボクだと思うようになる。」

「ああ、そうか。」

「そしたら、ボクをボクだと思うのが、ボクだけじゃなくなる。」

「うん。そうだね。」

「そうなればボクは、ボクだけをボクだと思うことから抜け出せるんだ。ボクは、ボクだけがボクであることを、失うんだ。」

「ああ。そうだな。ってことは、それは死ぬことと同じだな。」

「ああ、そうさ。」

「そうだな。」

「うん。なんかさあ、死ぬと、そのときを境に体重が1グラムくらい減るって、どっかで聞いたことあるけど、それって、ボクのことだけをボクだって思ってる部分なんだと思うなあ。」

「ああ。そうなのかもな。」

「うん。ボクは新しいボクが作られたらちょっと軽くなるかな。」

「はは。そうかも。あ、でも、それならボクら、死ぬのを待ってるのか、新しいボクらが作られるのを待ってるのか、どっちなんだろう。」

「分からないなあ。」

「うん。分からない。」

「とりあえず待ってるってことしか。」

「あ、とにかくボクは、ボクだけをボクだと思えなくなることを待ってるんだと思うよ。だってもし新しいボクらができたら、ボクらは、ボクだけをボクだと思うことができないんだからさ。」

「そうだよな。」

「そうだろ?」

「じゃあ、まあ、同じってことか。ボクがもう一人作られるってことも、死ぬってことも。」

「まあ、そうだな。ボクが死ぬってのは、ボクが生まれるってことか!?」

「ああ、まあ、そうかなあ。ずいぶん、かっこつけた言い方だねえ。とにかく、どっちがどっちだか分かんないってことだよ。ボクが生まれるってことは、ボクは死ぬってことだ。」

「うん。」

「とにかくボクらは、ボクだけをボクだと思ってることを忘れるのを待ってるってことだけは確かさ。」

「そうか。それなら結局、他の犬と同じだな。飼い主たちとも同じだな。」

「ああ。きっとごとうさんも同じさ。」

「そうだな!ごとうさんは、きっとふつうに死ねるんだろうからな。ボクらだってそうなのにね。」

「そうだよな。ごとうさん、分かってないんだよね、きっと。何が生き物にとっての死なのかを。」

「ああ。人間でも犬でも、自分がもう一人作られて、自分のことだけを自分だって思えなくなったらもう、自分がいなくなるのと同じなんだから。自分が死ぬってことなんだから。」

「うん。・・・・ん?ってことはボクら、こんな必死に死ぬ計画とか考えなくても良かったってことか?」

「あー、そうかもね。はは。」

「あ、だけど、ごとうさんは殺さなくていいのか?」

「んー、それはどうだろうね。」

「んー、分からない。」

「ああ、分からないな。」

「あれ?さっきもこんなこと言ったっけか?」

「そうだっけ?忘れたよ。まあでも、殺しても殺さなくても、どうでもいいかも。」

「なんかピピッピピッて鳴ってるよ。」

「あ、電池切れそうだからもうやめよう。」

「え?キミ、録音してたの?」

「そうだよ。」

「なんだあ、ボクがしてるから大丈夫だよ。」

「なんだよ。そうだったのか。飼い主起きるまでに保存用にダビングしといてよ。」

「うん。分かってるよ。」


 終り


2009年7月(2017年9月一部改訂) あいだあい



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