現代の都市の人間の世界では、自殺ってネガティブな理由でするものとばかり思われている気がするのだけれど、ポジティブな自殺もあると思う。(私はあと三十年くらいは死ぬわけにいかないのでまだ死なないけどね。生きさせてもらえる間は。)
世の中でよく言われる自殺って、何かに絶望したからとか辛かったからとか、何かマイナスな要因でするものと勝手に決められている気がして、自分はそういう見方にとても違和感があるんだ。「自殺=自殺するほど何かが辛かった」みたいな。それが自明なことかのように語られる。
何かが辛かったからこの世からいなくなりたいと思うこともあるだろうけれど、そうじゃなくて、「もう完全に幸せで、これ以上何も望むものが無いから、もう十分だ」と思って、完全に満たされたからさようなら〜という意味で、いなくなろうと思う、ということだってあるのではないかと思う。
それに近いけど、何か達成したいことを完全に達成しきったから、その人にとって、それ以上生きていく意味はなくなって、もう完全に生きる目的を達成して思い残すことが何もないから、さようなら〜的なこともあるんじゃないかと思う。
あるいは、自分が実現したいことのため、もしくは自分が望むような状況になるためには自分がいないほうが良いと判断して、とても前向きに「よし!じゃあ自分はいなくなろう!」ということもあると思う。
例えば今の地球の状況を考えたら人間がものすごく地球に迷惑をかけているから、本当に地球全体の秩序の維持を優先に考える人なら、「それなら人間は少しでもいなくなったほうがいいから自分いなくなるわー(^o^)/」的な意味でいなくなろうと思う、ということだってある。それもポジティブな考えだと思う。本人にとっては。でもそれを、現代の都市の人間の範囲だけで人間の現象を捉える文化のなかから見ると、一様にネガティブなことに見えるのだろうね。
もっと自殺をいろいろな視点から捉える見方が広まってもいいと思う。自殺について考えることは人間について考えることだと思うから自殺は人間の考えるべきとても大切なテーマだと思う。他の生物にもカマキリとかクモとか自分から自分の命を潔く捨てるようなある種の自殺のようなものはあるとしても、それは子孫を残すためだったり、生物として自分たちの種を保存することに繋がる行為だから人間の自殺とはちょっと違う。人間みたいに自殺する生物は人間しかいないと思うから、それは何か人間であるが故に起きることであって、人間にしかない大切な特性なのだと思う。私はべつに自殺がいいとか悪いとかを言いたいのではなくて、ただ、自殺には何か人間を捉える上での重要なヒントがあると思っているということ。
2020年9月 間アイ
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